<清水おかべクリニック>
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周囲でおたふく風邪が流行している時期であれば、典型的な症状が出ている患者さんの診断は簡単です。
しかし、特に流行が見られていない時期の散発的な患者さんの診断は、容易ではありません。厳密な診断を下そうとすると、急性期と回復期の2回、血液検査を行い(ペア血清検体)、免疫学的な検査を行えばはっきりするのですが、結果が出るには初診から1〜2週間位の時間を要する事が多いのです。診断が付く頃にはもう病気の方は決着が付いている、という事になりかねないので、臨床の現場ではそこまでの検査はしないで済ます事の方が多いと思います。
他、血液中や尿中のアミラーゼ(消化酵素の一種、通常は唾液腺や膵臓に多く含まれる)の測定も診断の助けになります。
耳下腺が腫れる急性疾患の多くはおたふく風邪ですが、その次に多いのが「反復性耳下腺炎」という病気です。両者は似ている部分もあり、判別が難しい場合があります。
反復性耳下腺炎も、5〜10歳位の小児に多く、耳下腺が腫れる病気です。おたふくよりも軽症で、経過も短い場合が多いようです。最大の違いは、おたふくと違って繰り返す場合がある事と、他の人にうつる事は無い、という2点です。
原因に関しては諸説ありますが、はっきりと解ってはおりません。生まれつき耳下腺の構造上の問題があって唾液がスムーズに出ず、感染を起こし易くなっているのではという説、アレルギーが関与しているのではという説、内分泌の異常説など、多くの発症要因が推定されています。
この病気もおたふく同様、特別な治療法はありません。ほとんどの場合、中学生頃になると自然に治まります。
両疾患の違いをまとめると、以下のようになります。
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おたふく風邪 |
反復性耳下腺炎 |
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好発年齢 |
全年齢、3〜6歳に多い |
5〜10歳 |
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他人への感染 |
あり |
なし |
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繰り返すか |
繰り返さない |
繰り返す事あり |
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発熱 |
発熱しやすい |
発熱しないか、微熱 |
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両側か片側か |
両側が多いが、片側もある |
通常片側のみ |
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腫張の期間 |
5〜7日 |
1〜3日 |
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痛み |
ある事が多い |
あまりなし |
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顎下腺の腫張 |
伴う事あり |
なし |
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血清アミラーゼ |
上昇あり |
上昇なし |
なお、おたふく風邪は普通パラミクソウィルスによる耳下腺炎の事を言いますが、それ以外の他のウィルス、コクサッキーウィルス・パラインフルエンザウィルス等で耳下腺炎を起こす場合もあるようです。その為「2回目のおたふく風邪に罹った??」といったような紛らわしい事も起こりうるようです。
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