耳鼻咽喉科 アレルギー科 清水おかべクリニック 平成16年10月1日開設
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清水おかべクリニック
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耳掃除を考える

外耳道にはもともと自浄作用が備わっており、耳垢を自然に外耳道の外側へ排出するように働きます(
Migration)。 耳の穴の奥に溜まった耳垢でも、自然にポロッと出てくる事が多いのです。
ですから、
敢えて耳掃除などしない、という考え方が、実は一番正しいのではないか、と思います。
(他の哺乳類はまず耳掃除なんてしませんよね?)

やるとしても
せいぜい一月に一度位で良いと思います。
日々の診察で、「どうも日本人は耳掃除しすぎなんじゃないか」と感じる時が多々あります。

既に前のページを読まれた方なら、耳掃除のしすぎは良くない、という事がお解り頂けるでしょう。溜めすぎて耳垢栓塞にしてしまうのも良くはないのですが、かといって外耳道を保護している耳垢を根こそぎ取るというのもトラブルの元です。毎日耳掃除をしている、という方の多くが外耳道湿疹になってしまっています。湿疹からにじみ出てくる滲出液のせいで耳掃除をすればするほど耳垢が増えるようにも思えてしまうでしょう。 

耳掃除をした方が良い、と私が思うのは以下のような方々です。

 @ お年寄りの方。皮膚の老化に伴って、Migrationの力も衰えるようです。
   「この所聞こえが悪い」と言って耳鼻科に来られた御老人の中に、酷い耳垢栓塞が
   ある方もよくいらっしゃいます。
   そういう方々が定期的に耳掃除をなさるのは、理にかなっていると思います。

 A 検診前の方。検診では耳の病気が有るか無いかを見ますから、耳垢で鼓膜が見え
   ない場合には、「鼓膜が見えなかった、従って中耳炎など耳の奥の病気を否定し
   きれていない」という意味合いで、『耳垢』という病名を付ける事があります。
   ですから検診の前には軽く耳掃除をしても良いと思います。

 B 慢性中耳炎などの耳の病気を手術加療した方。耳の手術をすると、カサブタ状の
   耳垢が沢山付くようになる場合があります。そうした場合には、病気の再発チェッ
   クも兼ねて、定期的に耳鼻科で耳掃除をして貰うのも良いと思います。


何事も過ぎたるは及ばざるが如し。あまり神経質にならず、耳掃除は程々に。
入口のみ軽く掃除して深追いせず、耳垢が少し残っている位がちょうど良いと思います。



  *余談1:耳掃除をすると咳が出る

「私ちょっとおかしいんです。耳掃除をすると、必ず咳が出るんですよ・・・」

いえいえ、別におかしくはありません。それは普通に起こっても不思議はない現象なのです。
脳神経の一種に、内臓に向かって延びる神経「迷走神経」という物がありますが、その神経が外耳道にも分枝を出しています。その神経を
迷走神経の耳介枝(Arnold神経)と言いますが、耳掃除の際にこの神経に刺激が及ぶ事があると、内臓への反射が起こって咳が出る事があるのです。
酷い耳垢栓塞がある時に、まれに内臓の症状が現れる事があるのも、この神経に対する刺激が原因です。
耳掃除をする際には「不意の咳きこみがあるかも知れない」という事を念頭に置いて、耳かきで耳の奥を傷つけたりせぬよう気を付けましょう。



  *余談2:耳掃除はなぜ気持ちいい?

耳掃除のやりすぎは良くない・・・ 
頭で解ってはいても、実際にはなかなか頻回の耳掃除を止められない、という方は数多くいます。「だって実際気持ちいいんだもの」と。
なぜ耳掃除は気持ちいいのでしょうか?

耳の穴というのは実は性感帯になっているのではないか、という説があります。
先にも述べたように、外耳道には耳垢腺という名のアポクリン腺があります。アポクリン腺が他にある場所としては腋窩と乳輪などが挙げられます。これらの場所はいずれも人間の性感帯でもあります。同じくアポクリン腺を擁する耳の穴も、性感帯の一種として働き、そこへの刺激は快感となるのではないか、という考えがあるのです。
だからついつい、耳かきに手が伸びてしまうのかもしれませんね。
神様も罪な事をなさるものです。



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