耳鼻咽喉科 アレルギー科 清水おかべクリニック 平成16年10月1日開設
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清水おかべクリニック
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耳垢にまつわる病気

先に記したように耳垢にはそれなりの役割がありますから、それが損なわれた場合のトラブルという物も存在します。また、一部の全身疾患との関連もある様です。

 耳垢栓塞
耳垢が大量に溜まってしまって固まりとなり、耳の穴を狭窄させ、あるいは閉塞させる病気です。これにより耳の閉塞感、難聴、耳鳴り、自声強聴(自分の声が大きく響いてしまう)といった耳の症状が出る他に、まれにのどの違和感や胃症状・嘔気の原因となる事があります(外耳道に、内臓に分布する神経の枝がある為→→後述)。
高齢者では耳垢栓塞が気づかれずに放置される事もままあるようです。老人で耳の閉塞感、難聴などがあった場合、まずは耳垢が溜まりすぎていないかどうかはチェックしておいた方がいいでしょう。
治療は顕微鏡下での耳垢栓塞摘出です。耳垢栓塞が大きすぎたり外耳道へ強く付着している時などには、「耳垢水」という液体を使って耳垢をふやかしてから取る、といったような治療も行われます。

 外耳道湿疹
外耳道の皮膚はもともと表皮層が薄く、外からの刺激には弱い部分です。耳が痒くなった時などに耳掃除をあまりしすぎると、外耳道を保護している耳垢を取り過ぎてしまい、皮膚を荒らしてしまって湿疹になる事があります。
一旦湿疹が出来ると、より痒みが増したり黄色の分泌液が出たりするのが気になり、更に耳掃除を繰り返してしまい事態を悪化させてしまう、という悪循環に陥りがちです。人によっては外耳道が荒れすぎてしまって細菌や真菌(カビ)の感染を起こし、外耳炎に発展してしまう事もあります。
治療には、ステロイド剤の軟膏塗布や、時に抗生剤・抗真菌剤の塗布なども行いますが、なんと言っても最重要なのは
「痒くても我慢してかかない」という事です。
皮膚は外部からの異物・感染に対する最初にして最大の防壁です。元々そんなにヤワな物ではありません。皮膚さえ丈夫であれば、トラブルにはならないのです。かゆみに負けて掻爬してしまうと、皮膚の防御構造が破綻してしまい、やっかい事に見舞われてしまいます。
くれぐれも皮膚を荒らさないよう、留意して下さい。
 腋臭
腋臭(いわゆるワキガ)と湿性耳垢には、高い相関関係がある事が知られています。この二つは共通の遺伝子による常染色体優生遺伝である事が解っています。
湿性耳垢は小児期から発現しますが、腋臭は15歳以降の思春期になってから発現します。老人になると腋臭は消失しますが、湿性耳垢はずっと継続します。
腋臭は黒人でほぼ100%、ヨーロッパ人で70%と高頻度で見られます。西洋では腋臭は平凡な事であり、むしろ強い腋臭は性的な魅力とされています。
一方東洋を見てみると日本人の腋臭は10%、中国人ではわずかに3%程だそうです。
腋臭の少ない東洋では、腋臭は不快な物とみなされてきたという歴史がありますが、捉え方の違いだけで別に病気という訳ではありません。

 乳癌
乳癌死亡率と湿性耳垢の頻度には相関性があると言われています。湿性耳垢の多い国では乳癌死亡率も高い事が報告されています。先にも記したように耳垢腺は腋窩や乳腺にあるアポクリン腺と同様の組織であり、生化学的性状も同じなので、耳垢腺の多い湿性耳垢の人は乳癌にもまたなり易いという事なのではないか、と推測されています。
 動脈硬化、糖尿病
動脈硬化や、糖尿病といった内分泌疾患も、湿性耳垢の人に多いと言われています。耳垢中の脂質の組成は汗の物よりも血漿中の物に近い事が知られています。脂質などの代謝の面で湿性耳垢の人と乾燥耳垢の人の間に体質の違いがあるのかも、という仮説が出ている一方で、欧米人と日本人との食生活の違いが出ているだけかも知れず、同じ条件での正確な比較分析はまだなされていないようです。



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