<清水おかべクリニック>
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この所マスコミによく登場する「睡眠時無呼吸症候群」という言葉。
新幹線のオーバーラン事故やチェルノブイリ原発の事故等の原因にもなったと噂されるこの病気、いったいどのような物なのでしょう?
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome,以下SAS)とは、睡眠中に呼吸停止を何度も繰り返すという病気です。10秒以上の呼吸停止が1時間あたり5回以上、一晩(7時間)で30回以上起きるようなら、SASと診断されます。
SASはその原因によって、3つのタイプに分けられています。
1.閉塞型
SASの中で一番多いタイプ。体は呼吸しようとするのですが、鼻やのどが狭い為に
一時的に気道が閉塞し呼吸が停止する型の物です。いびきはこのタイプのSASの
前段階と考えられます。
2.中枢型
脳にある「呼吸中枢」の機能が低下して、呼吸筋の運動が停止する型の物です。
必ずしもいびきを伴いません。
3.混合型
閉塞型・中枢型の両方が合併して起きる型です。
SASは,健康と思われる方々の中にも数多く潜在しています。表面的には習慣性の強いいびき、夜間の中途覚醒、昼間の眠気、といった症状で現れます。
この疾患がなぜ今危険視されているのでしょうか?
人間の活動にとって睡眠の持つ役割は重要です。睡眠が妨げられる事で、様々な問題が生じてしまいます。
SASの患者さんでは、夜間の血中酸素濃度の低下が見られ、また頻回の覚醒反応のため熟睡出来ない、という問題が生じます。その結果目覚めの悪さ、昼間の強い眠気、頭痛、不機嫌、集中力の低下といった症状が出ます。また、呼吸機能が低下することで心臓・血管系の臓器に負担がかかり高血圧・不整脈・脳梗塞・狭心症・心筋梗塞等の循環器系の疾患を併発する事があり、夜間突然死との関連も指摘されています。内分泌系の臓器への悪影響から糖尿病の発症リスクも上がるとされています。
社会的にも、日中の眠気による交通事故・労働災害・仕事や学業の能率低下など、大きな影響を与えかねない事が近年取り沙汰されているのです。
SASがある場合のリスクは一説によると、
高血圧・・・・・・・・・・・・・・2倍
心臓血管障害・・・・・・・・・・・3倍
脳血管障害・・・・・・・・・・・・4倍
居眠りによる交通事故・・・・・・・7倍 という報告もあるくらいです。
決して侮れない病気。私たちは、SASに関してもっと注意を払うべきです。
アメリカでは以前からSASに起因する作業効率の低下や作業中の事故などによる社会経済的な損失と、SASによって二次的に発症する高血圧・虚血性心疾患・糖尿病などの治療費が莫大である事が報告されており、1989年に国レベルで睡眠障害の危険性を啓蒙するキャンペーンを行っています。同国には既に公認の睡眠センターが500以上存在しており、SASの診断と治療がなされてきております。
日本ではこの数年でやっとこの疾患の危険性が取り沙汰され始めましたが、まだまだこの疾患のきちんとした診断・指導・治療を行える施設は不十分です。
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