耳鼻咽喉科 アレルギー科 清水おかべクリニック 平成16年10月1日開設
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清水おかべクリニック
+ 花粉症 +
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花粉症の治療
花粉症は、何もしなくても自然に治る事(自然緩解)も無くは無いですが、その可能性は数%と決して高くありません。自然緩解者の多くは中高年発症の方々で、治る年齢も平均63歳くらいと言われています。重症患者さんの場合短期間での自然緩解というのはまず期待できません。
花粉症に一旦なってしまうと長いつき合いになる事が予想されますので、やはり対応策を考えなくてはなりません。以下にその主要な物を記載いたします。

     1.抗原の除去と回避
     2.薬物療法
     3.減感作療法
     4.手術加療


 抗原の除去と回避
アレルギーの原因となる抗原(花粉)を極力除去ないし回避する事が出来れば、症状が軽くなる訳ですから、まず実施すべき対策と言えます。

花粉情報を利用して、飛散の多い時には外出を避けましょう。外出する際には、花粉の付着しやすい毛織物のコートなどは着用を避けましょう。最近は花粉が付きにくい洋服というのも存在しますから、それらを利用するのも良いでしょう。
マスクやゴーグルを付けると症状を押さえるのに役立ちます。マスクは目が細かくて花粉を通しにくい不織布製の、顔にもフィットしやすい立体型の物が最近出回っており、お勧めです。より効果が高いのは防塵マスクですが、少し高価なのと装着した時やや息苦しいのが難点です。ゴーグルも密閉性の高い物を付ければ目の症状を抑えるのに有効ですが、さすがに審美的な面からかあまり普及はしていないようです。

帰宅時には、花粉を室内に持ち込まないよう衣服や髪をよく払ってから家に入りましょう。洗顔、うがい、鼻をかむ、ないし鼻を生理食塩水やぬるま湯などで洗浄するというのも良い方法です。
家の窓もなるべく閉めておき、花粉を室内に侵入させないように注意しましょう。シーズン中の布団干しは、なるべく外干しはせず、布団乾燥機を利用した方が無難です。家の中は細かいフィルターを備えた掃除機などで掃除をしたり、空気清浄機などを利用すると室内の花粉を減らす事が出来ます。花粉はホコリなどに比べて重いので、畳や絨毯の上に落ちた場合は再び舞い上がることは少ないようです。掃除機を念入りにかければ、花粉はかなり除去できます。フローリングでは花粉が舞い上がりやすいので、雑巾で床拭きするのが有効でしょう。
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 薬物療法
薬物療法は花粉症に対する治療としてもっとも一般的に行われている物です。基本的には対症療法で、薬を使っている期間のみ有効です。
花粉症に効く薬は多種多様ですが、大まかな分類で特徴をお伝えします。

内服薬
抗ヒスタミン剤
第一世代と第二世代とに分けられます。
第一世代の抗ヒスタミン剤は古くから使われている薬です。くしゃみ・鼻水に対して即効性がありますが、鼻づまりに対する効果は弱いようです。効果持続時間は短めです。眠気・全身倦怠感・口の渇きなどの副作用が強い薬です。
第二世代の抗ヒスタミン剤は前者に比べ、鼻づまりに対する効果が高く、連用によって効果が高まります。副作用も少な目でマイルドな薬ですが、その分即効性にはやや劣ります。医療機関での花粉症に対する内服治療で最も頻用されるのがこの第二世代抗ヒスタミン剤です。
化学伝達物質遊離抑制剤
即効性はあまりありません。服用を続けるとゆっくりと効き始め、十分な効果を発揮するには1〜2週間かかります。くしゃみ、鼻水、鼻づまり全てに対して有効です。
漢方薬
漢方薬は個々の患者さんの「体質」に合わせて処方される薬です。西洋医学的な発想で症状と薬とが一対一対応している訳ではありません。患者さんと薬の相性がうまく合った場合には、充分な効果が見込め、眠気なども無いようです。
ただし、「漢方薬には副作用がない」というのは俗説ですから、やはり個々の患者さんに会わせて処方を考える必要があります。
ステロイド剤
ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)は様々な病気に対して用いられていますが、花粉症に対しても高い効果が見られます。ただ、この薬の問題点としては副作用もいろいろあるという事です。長期間内服を続けると感染の誘発、副腎皮質機能低下、糖尿病、消化性潰瘍、満月様顔貌といった副作用が出てきますので注意が必要です。花粉症の内服治療の基本はやはり前に述べた3種類を中心とし、症状の酷い時の緊急用としてピンポイントでステロイド剤の内服を使う、というのが良いでしょう。

内服加療は、初期治療が有効性を高めます。花粉飛散の1〜2週前から治療を始めると効果が高い、という事が確かめられています。


点鼻薬
血管収縮薬(交感神経刺激薬)
鼻づまりに対して特に有効です。しかし、長期間使っていると効果持続時間が短くなり、反跳的に血管拡張を来たし鼻づまりが酷くなります。長期連用は避けなくてはなりません。また、乳幼児では痙攣・呼吸抑制などの副作用が報告されており、使用禁忌です。
局所ステロイド薬
くしゃみ・鼻水・鼻づまりいずれにも即効性があり、かつ効果も高いのがこの局所ステロイド薬です。内服のステロイド薬と異なり、局所に噴霧するタイプのステロイド薬は鼻粘膜に作用した後に速やかに分解されるよう計算された製剤が多く、全身的な副作用はほとんどありません
抗コリン薬
鼻水の多い患者さんに対して有用です。即効性がある反面、持続時間は短く、一日3〜4回の点鼻が必要になります。
化学伝達物質遊離抑制剤
内服薬同様、即効性はあまりありません。十分な効果を発揮するには多少時間がかかります。くしゃみ、鼻水、鼻づまり全てに対して有効です。

これらの薬剤を色々組み合わせて治療にあたります。


* 余談1:花粉症の市販薬
花粉症用として一般に市販されている飲み薬は、何種類もの薬が混ざった合剤が多数を占めますが、主成分は第一世代の抗ヒスタミン製剤である事が多いようです。
この成分は即効性がありますが、持続時間は短めです。効果はそこそこ期待できる反面、眠気やのどの乾きなどの副作用の出る割合は高いようです。人にも寄りますが眠気で日中の活動が妨げられる場合にはお勧めできませんし、車の運転などが必要な方は避けるべきです。
また、市販されている点鼻薬は、主成分がほとんどどれも血管収縮剤です。鼻づまりの解消に即効性がありますが、長期間使っていると反跳で鼻づまりはかえって悪化しますから、使用は短期間(1週間以内)に留めて置いた方が無難です。
薬代は、健康保険を使うと、処方薬のほうが市販薬より安くなる場合が多いようです。


* 余談2:花粉症の「注射治療」
花粉症に対し、注射の治療を行う場合があります。その注射薬は大きく2種類に分類出来ます。

1. ヒスタミン加ヒトガンマグロブリン製剤
体内の遊離ヒスタミンの不活化、ヒスタミン遊離抑制の効果があります。皮下注射が一般的な使用法です。週1〜2回の注射を3〜6週続けます。有効率は5〜7割とされており、大きな副作用も報告されていませんが、元々血液から加工された製剤である事をどう考えるかで評価が変わってきます。薬害エイズの問題が出てから使用する医療機関は減少しているようです。
2. ステロイド剤
一部の医療機関で、ステロイド剤の注射を行っている所もあります。「ケナコルトA」「デポメドロール」といった、徐放性のステロイド剤が使われるケースが多いようです。1回注射すると1シーズン効果が続く、と評判を呼ぶ事が多いようですが、全身的な副作用が心配です。
ケナコルトAを1バイアル(40mg)筋注しますと、血中濃度は筋注後3時間でピークとなり、その後 3週間まで有効濃度が維持されます。一方、血中コルチゾール値は筋注後2週間の間0となり、副腎皮質機能の抑制は3〜4週間続きます。また、排卵に与える影響については、卵胞期初期に投与した場合には排卵は2週間以上抑制され、再開は3〜6週後になると報告されています。
具体的な副作用としては、注射した部位の筋肉萎縮、満月様顔貌(ムーンフェイス)、糖尿病、高血圧、胃潰瘍、生理不順、感染症(特に真菌)、緑内障等が報告されています。
治療効果が長続きするという事は、裏を返せば副作用が出てしまった場合にも後々まで尾を引く、という事です。アレルギーの専門家の間では、花粉症にステロイド注射を行うというのは少々やりすぎではないか、使うとしてもよほどの重症例に限るべき、という意見が主流を占めています。

注射治療に関しては、よく主治医と相談した上で実施するかどうか決めましょう。(ただ現実には、副作用の説明はおろか、使用する薬剤の名前すら伝えずに注射を行っている医療機関もあるようです。お気を付け下さい。)
因みに当院では、どちらの注射治療も実施いたしておりません。


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 アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法は、以前は減感作療法とも呼ばれ、古くから行われてきた治療法です。免疫学の進歩とともに、その有効性が改めて見直されてきています。
 
免疫療法とは、原因となっているアレルギー物質(アレルゲン)を極度に薄めた物を注射していき、少量ずつ濃くしていく事で、アレルギーの感受性を低くするという治療法です。簡単に言えば「体を花粉(アレルゲン)に慣れさせる」という事です。一種の体質改善とも言えます。
少なくとも1〜2年、安定した状態に達するには3〜5年治療を継続する必要があるという、非常に根気のいる手法ですが、アレルギーの治療法の中で唯一、アレルギーを根本的に治す事ができる方法です。

従来、主に「皮下注射」によるアレルゲン免疫療法が行われてきました。有効率は60〜70%程と言われていますが、治療効果が長期間持続する、というのが最大の長所です。一旦うまく行ってしまえば、まれに症状が出た時に臨時で薬を使う位で、ほとんどアレルギーに悩まされる事のない快適な生活が送れるようになります。
しかし、頻回に通院し皮下注射をしなければならないのが負担になるのと、まれにアナフィラキシー等の副作用が出る事があり、アレルギー治療の主薬になる事はこれまでありませんでした。

患者さんにとっては、越えるべきハードルは高い物の、一旦越えてしまえば後はアレルギーに悩まされない快適な生活が送れるという点で、魅力ある治療法です。

アレルギー症状の強い人で、定期的な通院が可能であり、多少の副作用なら容認できそうという方なら、一度考慮してみても良いでしょう。

なお、最近になって皮下注射によらない「舌下免疫療法」が登場し、注目を集めています。こちらの方は後ろの方のページで解説しています。


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 手術加療
花粉症の主に鼻症状に対し、薬などではコントロールしきれない場合などに、手術を行う事があります。

近年よく行われている手術に、レーザーなどを用いた「
粘膜焼灼術」があります。鼻の中の粘膜を変成・縮小させる事で、アレルギー反応の場を縮小させる治療法です。
焼灼には、各種レーザーや高周波凝固装置、アルゴンプラズマ、超音波メスなど様々な器具が用いられ、それぞれに一長一短有るようです。
いずれもわずかな痛みや出血で済み、手術時間は両鼻で20〜30分ぐらいなので、ほとんどの場合外来治療で可能です。(子供で外来手術が難しい場合、入院して全身麻酔下に行う事もあります。) ただ治療は2回3回と複数回行う場合があります。
術後は一時的に鼻内にカサブタが出来る関係で、鼻づまりがひどくなったり、鼻水が増えたりします。1週間後にカサブタが取れると、その後は鼻症状が逆に減少します。

利点
薬なしでも、しばらく効果が持続し快適な生活が送れます。副作用らしき物もありませんし、花粉症で1シーズン薬を飲み続ける事を考えれば経済的でもあります。
季節性の花粉症の場合には、シーズン前に治療をしておくと有効です。
欠点
鼻粘膜焼灼術は対症療法であり、アレルギー体質そのものを治す訳ではありません。効果持続時間は患者さんによって差があり、半年〜2年位です。ただ、特に副作用や後遺症が出る治療ではありませんので、効果が薄くなったらまた焼灼する、という考えでよいと思われます。
なお、重度のアレルギーで鼻の中の粘膜が過剰に肥厚してしまっている方の場合には、粘膜焼灼術では「焼け石に水」で効果がほとんど得られない場合があります。


その他、鼻中隔が曲がっている・鼻内の粘膜が肥厚しているといった理由で鼻づまりの酷い方の場合、「鼻中隔矯正術」や「粘膜下下甲介切除術」「下甲介切断術」といった手術をする事がありますが、いずれも病院での入院加療が主流となります。鼻粘膜焼灼術よりは症状改善の有効期間はずっと長くなります。

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