<清水おかべクリニック>
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鼻にシュッとスプレーするお薬「点鼻薬」には、様々な種類があります。
その中に、「血管収縮薬」と呼ばれるカテゴリーの薬があります。
市販点鼻薬のほとんどがこの成分を含んでいます。
実はこれが要注意なのです。
血管収縮薬は、「交感神経刺激薬」とも言い、鼻の粘膜の血管を収縮させて、粘膜の張れを減らします。アレルギーがあろうとなかろうと鼻の粘膜が縮こまるので、一時的に鼻づまりが楽になります。
シュッと一吹きすると一時的な爽快感が得られる為、使った人は癖になって又使う→リピーターが増える、という仕組みで、製薬会社にはメリットのある薬です。(市販の目薬も、病院で貰う目薬よりスカッとする物が多いですよね?)
が、使う人にとっては実はデメリットの多い薬です。
血管収縮剤の効果は結局一時的な物で、数時間後にはまた鼻はつまります。鼻づまりの原因を根本的に無くす薬ではないのですから、当たり前の話です。
この薬を長期間使っていると、自力で鼻粘膜の血管を収縮させる力が段々弱まっていき、かえって鼻詰まりがひどくなります。そして鼻づまりを取る為にまた血管収縮剤を使う、という悪循環に陥り、薬への依存性が生まれます。
これを「薬剤性の肥厚性鼻炎」と言います。当院にも時々「市販点鼻薬中毒」の患者さんが来院されます。
血管収縮薬はあくまで一時しのぎ。短期使用限定です。
ほとんどの市販点鼻薬の説明書には、「適用間隔は3時間以上、1日6回を限度」と書かれているようですが、これでも多いと思います。
「1日2回まで、使用期間は3日〜1週間まで」というのが無難です。
また、妊婦は極力使用すべきではありません。
そして子供(7才未満)、特に2才未満の乳児に対しては、意識障害・痙攣等の深刻な症状が出る危険性がある為、使用厳禁です。
代表的な成分:塩酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドゾリン、
塩酸テトリゾリン、塩酸フェニレフリン 等
点鼻薬の成分表にこれらの薬剤が記載されていたら、御注意ください。
製薬会社には、是非とも副作用の少ない点鼻薬を販売してもらいたいものです。
(なお、当院では血管収縮薬の点鼻薬を処方する事はほとんどありません。本当に酷い鼻づまりの患者さんに対してだけ、厳重に注意した上で短期限定で処方するのみです)
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