<清水おかべクリニック>
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この数ヶ月、毎日のように人々の話題に上る新型インフルエンザ。
首都圏、京阪神などでは多数の患者さんが既に出ていますが、静岡に関しては割と少ないな、という印象を持っていました。
しかし、先週くらいから少しずつ感染者が増えているようです。今後気温が下がるにつれてもっと増えるのであろう、と予想しています。
さて、インフルエンザの診断に関わる検査の話です。
インフルエンザの診断検査には、簡易診断キットを使った検査と、PCR法という精密検査の2種類あります。
医療機関で一般的に行われるのは、簡易診断キットを使った検査です。鼻の奥の粘液中に含まれるウィルスを検出します。診療所でも簡便に出来、10〜15分で結果が出るという手軽さゆえ、よく行われております。
ただしこの検査、万能の検査ではありません。高熱が出てから10時間位経たないと鼻汁中のウィルス量が増えないので、熱が出てすぐにこの検査しても「陰性」と出る可能性が高くなります。あまり早く検査しても当てにならない、という事です。
また、充分時間が経った後に検査しても、感受性は100%ではありません。特に新型インフルエンザの場合、発症初日で陽性率が5〜7割、陽性率が最も高くなる2日目で8割程と、あまり高くないようなのです。現在の簡易診断キットは従来型の季節型インフルエンザ用なので、新型インフルエンザに対する感度が低い可能性があります。
そしてこの簡易検査では、インフルエンザが従来型か新型かの区別をする事は出来ません。
それに対し、精密検査「PCR法」は、ウィルスの遺伝子をコピーし増やして、その内容を調べる検査です。
従来型か新型かといった点も診断できる精度の高い検査ではありますが、特殊な設備を必要とし、時間とコストもかかるので、各地の衛生研究所・感染症研究所等で実施しているのみです。一般的な医療機関及び検査会社では実施出来ません。
静岡の保健所にお話を聞いた所、今回の新型インフルエンザの流行初期に保健所などで一時期PCR検査を実施した際には、インフルエンザのほとんどが新型ウィルスによる物であった、という事でした。
そして流行が全国的に広がった現在、特殊な場合を除きインフルエンザの患者さんに対しPCR法の検査は実施していないそうです。
以上まとめますと、通常の医療機関では、インフルエンザを単独の検査法のみで100%診断する事は不可能です。患者さんの症状や周囲の流行の程度などを総合的に見て、判断を下すしかないのです。
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