今年の１月後半から、静岡市内ではインフルエンザのＢ型の流行が認められます。

インフルエンザにはＡ・Ｂ・Ｃの３種類があり、この内Ｃ型は病原性が弱く問題になる事はあまりありません。（このあたりの話は『インフルエンザ四方山話』を御参照下さい）
普通インフルエンザが流行するという場合、Ａ型が主体となることが多いのですが、今年の静岡においてはなぜかＢ型の方が多い模様です。

Ｂ型のインフルエンザはＡ型に比べると、発熱や関節痛などの症状があまり派手に出ない傾向にあります。その為極普通の風邪とあまり変わらない症状で来られた方で、でも頭痛もあるから一応調べてみようか、と検査してみると「Ｂ型インフルエンザ」との結果が出てしまう、といったケースが多いようです。

インフルエンザワクチンを既に受けられた方でも、インフルエンザを発症することはあります。ワクチンを打った場合でも、ワクチン株と実際の流行株が一致した場合で大体発症の70〜90％を押さえるといった成績なので、完全に無発症ではないようです。しかし御夫婦でそろってインフルエンザに罹った方が来られましたが、ワクチンを打っておられない旦那さんの症状の酷さに比べて、ワクチンを打たれた奥さんの症状はかなり軽い物でした。ワクチンは症状の軽減には充分に役に立っているように思われます。

インフルエンザの治療には、抗インフルエンザウィルス薬を使います。
日本で認可されているのは、シンメトレル、タミフル、リレンザの３つです。

この内シンメトレルはＡ型にしか効きませんので、今回のようなＢ型の流行ではあまり出番がありません。
残り二つの薬が頻用される訳ですが、当院では大人のＢ型インフルエンザの場合、リレンザの使用を推奨しています。その理由は

	１，吸入タイプの薬なので、インフルエンザウィルスの多く存在する上気道に速やかに薬が届く。タミフルは内服薬なので、服用してお腹で吸収されてから効いてくる為、ワンテンポ遅れる。
	２，タミフルはこれまで頻用されてきた為か、耐性ウィルスの増加が報告されている。（リレンザでは今の所耐性ウィルスの報告は無し） それと関係あるか否かは不明だが、今のＢ型ウィルスにはタミフルは規定量で使ってもあまり効かないよう、との報告もある。

といった所です。ただ、リレンザの欠点として、小児には適用がないという事があります。子供さんにはタミフルのドライシロップをお出しするようにしています。（ただそのタミフルも、１歳未満の赤ちゃんには使えませんが。）

私自身はワクチンがうまく効いてくれているのか、今の所発症はありません。
皆さんもご自愛下さいね。

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