<清水おかべクリニック>
<トップへ>
|
|
私の高校生時代、「耳が痒くてたまらなくなる、時に耳から液体がにじむ事がある」という事が起きました。
親の薦めに従って、当時評判の良かった東京近郊の耳鼻科医院に通いました。
長い待ち時間のあと、ようやく私の番が回ってきました。緊張しながらドクターの前の重々しいイスに座り、診察が始まりました。
ドクターは私の耳を見、何か処置をし、次回いついつ来るように、と言い渡して、診察は終わりました。
通算3回位は通院したと思います。貰った軟膏を塗っている内に、いつしか自然と耳の状態は良くなったようでした。
今思えばそれは単なる「外耳道湿疹」であったのでしょう。しかし、当時の私には解りませんでした。
数年して医学を学び出してから、やっとその時の実態を悟りました。
勤務医として働き出すと、同じような症状で病院を受診される方が少なくない事に気づきました。私は自分の高校生時代を思い起こしつつ、患者さん方にこう言うようにして来ました。
「これは湿疹です。軟膏を処方しますが、痒くてもとにかく触らないようにして下さい。そうすれば自然に治りますよ。」と。そして次回受診の必要無し、悪化するようなら又来て下さいとお伝えして帰って頂いて来ました。
高校生の私を診察した耳鼻科医も、同じように言ってくれてたらそれで済んでいたのにな、と思った物でした。
私は今度医院を開業しようとしています。それは今までの勤務医(サラリーマン)から「経営者」になるという大きな変化を伴います。医院の利益という物を考えなければならない立場になる、という事です。
しかし、人はパンの為にのみ生くるにあらず。
銭勘定だけが人生ではありません。
医院に来てくれた患者さんには、しっかりとした治療を行う事は当然の事として、その内容もきちんと納得して帰って頂けるよう努めたいと思います。「ここに掛かって良かった」と言ってもらえるような医院を作る事が、私の第一目標です。そうする事が私自身の喜びと生き甲斐になるでしょう。
経済的な事ばかり優先して、患者さんとのコミュニケーションをなおざりにするような心貧しい人間にならないよう、そして数十年後に胸を張って医師としての勤めを終えられるよう、努めて参りたいと思っています。
<診療日記に戻る>
|
|
|
|
|
 |
 |